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- 井上由里子, 佐々木通孝, & 吉岡(小林)徹. (2023). 「不正競争防止法における「混同のおそれ」の規定要因」日本法社会学会編『社会学の最前線』有斐閣, 299-331.
- Modic, D., Luzar, B., & Yoshioka-Kobayashi, T. (2023). Structure of university licensing networks. Scientometrics, 128, 901–932.
- 本研究では、大学発特許を通じた発明者レベルの共同発明ネットワーク構造に着目し、ライセンスされた特許での共同発明者ネットワーク構造と、それ以外の特許を含むネットワーク構造で違いがあるかを検証した。その結果、ライセンスされた特許での共同発明者ネットワーク構造は、分断された構造になる傾向が観察された。
- 井上由里子, 佐々木通孝, 五所万実, 吉岡(小林)徹. (2022). 「標識関係訴訟における《需要者アンケート》(1)―「混同のおそれ」に関する実証研究―」『知的財産法政策学研究』63, 1-66.
- Yoshioka-Kobayashi, T. & Shibayama, S. (2023). Determinants of Ph.D. progression: student’s abilities and lab local environment. Higher Education, 86, 693–718.
doi: 10.1007/s10734-022-00925-6
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本研究では、学生の属性(とくに研究活動への適性)と学生の所属する研究室環境が博士課程進学にどのような影響を与えているのかを、日本の研究大学の生命科学系・情報科学系の専攻に所属する教員・修士課程学生への質問票調査により分析した。その結果、修士課程修了後の直接進学に関しては、研究適性が高いと指導教員から評価されている学生ほど博士課程に進学する傾向があること、また、研究環境や研究者育成環境に優れた研究室に所属する学生ほど進学する確率が高いことがわかった。さらに、研究適性の高い学生の進学には、研究室の育成環境(研究指導に多くの時間が割かれる等)が影響する一方、そうでない学生の進学には研究環境(研究活動上の実績等)が影響することが示唆された。
- Yoshioka-Kobayashi, T., Shibayama, S. (2021), "Early career training and development of academic independence: a case of life sciences in Japan," Studies in Higher
Education, 46(12), 2751-2733. doi:10.1080/03075079.2020.1817889
- 科学研究者の後進指導、研究テーマ選択の方針が、自身が受けた研究指導の影響をうけることを日本の生命科学領域の研究者188名に対するアンケート調査により実証。
- Yoshioka-Kobayashi, T., Miyanoshita, T., Kanama, D. (2020), "Revisiting incremental product innovations in the food manufacturing industry: An empirical study on the
effect of intellectual property rights," Journal of Economic Structures, 9, 4. doi:10.1186/s40008-020-00213-5
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食品産業ではプロダクト・イノベーションの知的財産権による専有可能性が必ずしも高くない。製造プロセスや流通プロセスの開発などのプロセス・イノベーションや、パッケージデザインなどのインクリメンタルなプロダクト・イノベーションとのいずれが財務パフォーマンスに優位に働いているのかを比較した。その結果、パッケージデザインを中心とするインクリメンタルなプロダクト・イノベーションと
- 網中裕一, 吉岡(小林)徹 (2020)「日本におけるクラウドファンディングを通じた科学研究支援の動機」『研究 技術 計画』35(1), 77-95. doi:10.20801/jsrpim.35.1_77
- クラウドファンディングを通じた科学研究への支援動機を、モニターへのアンケート調査によって探求。個別の事例を示した上で支援意向を把握するという実験的な手法を採用した。その結果、個人的な関心が主要な動機であることがわかった。
- Miyanoshita, T., Yoshioka-Kobayashi, T., Kanama, D. (2020), "Profiting from (not too many) package designs: evidence from a firm level design registration analysis in the food
manufacturing industry," British Food Journal, 122(7), 2233-2251. doi:10.1108/BFJ-09-2019-0699
- 食品産業における知的財産権の獲得の効果を検証。その結果、パッケージデザインに関する意匠の保有は相対的に高い財務パフォーマンスをもたらすが、あまりに多くパッケージデザインに係る意匠登録を行っているとそのプラスの効果は損なわれることがわかった。
- Hu, W., Yoshioka-Kobayashi, T., Watanabe, T. (2020), "Determinants of patent infringement awards in the US, Japan, and China: A comparative analysis, " World Patent
Information, 60, 101947. doi:10.1016/j.wpi.2019.101947
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特許権侵害訴訟で認められる損害賠償額がどのような要因によって決定されているのかを、特許の性質に注目して実証的に日米中の裁判例を分析。その結果、額の比較で見ると、米>日>中となっていたこと、日本は技術的な価値に影響されている傾向があるが、米・中は国際的な保護がなされていることに注目している(すくなくとも商業的な価値をみている)傾向があることがわかった。同時に、米国の裁判で認容される損害賠償額のばらつきの殆どは陪審員による影響ということもわかった。三倍賠償制度は日米の差をわずかに説明するのみであり、「米国の裁判のほうが高額の損害賠償が認容される」との言説は主として賠償制度よるところ、そして、日本の裁判所が(平均的には)やや技術的価値に注目しがちであることに由来することがうかがわれた。
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Yoshioka-Kobayashi, T. (2019), "Institutional factors for academic entrepreneurship in publicly-owned universities: The case of a transition
from a conservative anti-industry university collaboration culture to a leading entrepreneurial university," Science, Technology and Society, 24(3), 423-445. doi:10.1177/0971721819873180
- 公的、かつ、学術規範を優先する大学の、起業活動をうながす仕組みを作る過程について、東京大学の30年間の取り組みの歴史をもとに、実は活動当初は半公式のような中途半端な位置づけにしたほうが、無用な組織内対立を避け、能力を養成するのに適しているのではないか、という仮説を提示した。
- Akiike, A., Yoshioka-Kobayashi, T., Katsumata, S. (2019). "The dilemma of design innovation: Analysis of mobile phone’s design patent." Annals of Business
Administrative Science, 18(6), 209-222. doi:10.7880/abas.0190908a
- デザインは製品カテゴリーとしての立ち上げ期と成熟期に大事という議論がEisenman教授によってなされているが、インパクトと新規性のあるデザインの創出について見てみると、成熟期ではそのようなものは実現されにくいということを、携帯電話分野を事例として、特許と意匠のデータを組み合わせることで実証的に示した。
- 秋池篤・吉岡(小林)徹 (2018)「技術変化時のデザインのマネジメント-デジタルカメラの事例より」『赤門マネジメントレビュー』17(4), 159-178. doi:10.14955/amr.0171112a
- 製品のコア技術が変化し、製品アーキテクチャそのものが変容を迎えるとき、デザイン(製品外観および製品が生み出す体験)は大きな発散・試行錯誤の段階を迎える。その中で、挑戦的なデザインに挑むことは組織的に難しいが、それを打ち破るものがデザインに内包された合理性、それからデザイン部門への権限委譲であったことが事例研究を通じて確認された。
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吉岡(小林)徹(2018)「革新的な製品に含まれるデザイナー発の技術イノベーション」『マーケティング・ジャーナル』38(1), 21-37.
- 市場にインパクトのある製品では、デザイナーがその要素技術の開発にも貢献している場合があることを事例分析を通じて示した。デザイナーは組織内の壁を超えた技術知識の橋渡しをしうること、また、技術開発においても一定の独自の貢献を行うことができると考えられ、少なくとも新製品開発ではデザイナーに技術開発にかかわらせないというような分業を行うべきでないことが示唆される。
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Yoshioka-Kobayashi, T., Fujimoto, T., Akiike, A. (2018), "The validity of industrial design registrations and design patents as a measurement of "good" product design:
A comparative empirical analysis, " World Patent Information, 53, 14-23. doi:10.1016/j.wpi.2018.04.001 (SNIP=1.03 (2018))
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「優れた製品デザイン」として認識されているものを計測する指標として意匠登録を用いることが妥当であるかを、国際的なデザイン賞受賞製品が日米欧中韓で意匠登録されているかを基に検証した。150製品について調査したところ、56%はいずれかの国で意匠登録がされていた。この登録の有無には受賞者の意匠制度を利用しているかに強く影響を受けており、1件でも意匠登録をしている受賞者では70%の受賞製品が意匠登録されていた。
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国別の違いも検証しており、日本、韓国ではそもそも国外の受賞者は意匠制度を利用していない傾向があったが、自国の受賞者に限って見ると、5地域で顕著な差はなかった。
- Hu, W., T. Yoshioka-Kobayashi, and T. Watanabe (2017), "Impact of patent litigation on the subsequent patenting behavior of the plaintiff small and
medium enterprises in Japan," International Review of Law and Economics, 51, 23-28.
- 特許侵害訴訟を起こすこと、または、巻き込まれることが、中小企業の研究開発活動にどのような影響を与えるかを日本の訴訟データにより実証的に明らかにした。中小企業が特許権者として訴訟の判決後に特許出願数の減少を招く一方、特許の質は高まっていた。
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Akiike, A., and T. Yoshioka-Kobayashi (2017), "The power of existing design for establishing the dominant 'industrial'
design," Annals of Business Administrative Science, 16(4), 189-202.
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広く普及し支配的となっていた製品外形、が、コア技術の変化により実現困難になったとしても、当該外見に機能的な合理性がある場合、既存の外形に回帰していくことが有利に働き、コア技術の変化にも関わらず中長期的には支配的な製品外形が維持されることがあることを、デジタルカメラの製品外形の変化の分析から明らかにした。
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高橋真木子・吉岡(小林)徹(2016)「日本のURAの役割の多様さとその背景,総合的な理解のためのフレームワーク」『研究・技術計画』31(2), 223-235. doi:10.20801/jsrpim.31.2_223
- 大学リサーチアドミニストレーターについて、現在各大学で担っている多様な役割が現場のニーズに適合したものであるとの前提のもと、共通の役割を抽出し、これこそが日本版URAの中心的役割であると論じ、その上で、URAの類型化や評価のあり方など、議論上の論点に対する示唆をまとめた。
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吉岡(小林)徹・渡部俊也(2016)「登録意匠の価値を表す指標—意匠の被引用数についての探索的研究—」『日本知財学会誌』12(3), 72-95.
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日本の意匠について、同一の先行意匠を引用する被引用意匠(共引用関係にある意匠)を除いた被引用数(共引用除外被引用数)と、意匠を7年間維持する確率との間に正の相関があることを見出し、価値指標として用いることに無理がないことを論じた。
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秋池篤・吉岡(小林)徹(2015)「技術も生み出せるデザイナー、デザインも生み出せるエンジニア――デジタルカメラ分野におけるデザイン創出に対する効果の実証分析」『一橋ビジネスレビュー』62巻4号(2015年春号)64頁-79頁.
(※調査・研究チームメンバーとして明記されているもののみ)
論文数、発表数の推移(括弧は筆頭・責任著者でないもの(外数))